you're only but not lonely

大佐がネヴってるのは割といつものことだと思っていたけれど、
その日は少し、様子が違っていた。

「…大佐。
 それ、何処まで本気ですか」
片眉をあげて聞き返すドルヒに、大佐が軽く首を傾げた。
「…何処まで、とは?」
机の上で軽く指を組み合わせる大佐に向き合うように、ドルヒが机に手を突く。
「『私は常にひとりだ』、といいましたよね。
 どういう意味ですか」
「…その言葉のとおりだよ。
 君たちは、いつも仲が良いよね。
 良い事だ」
ふわ、と「いつもの様に」笑うネヴローズ大佐に、ドルヒが抑えた声をだす。
「…つまり、大佐は、オレたちと違って、常に、自分がひとりだと、
 そういうことを言いたいわけですか」
「…それ以外に意味があるのかな?」
どちらも、表情だけは普段どおり。
…表情だけは。
大佐はともかく、ドルヒがそれとわかる程度に苛立ちを表してるのは、珍しい。
慌てて、ドルヒの袖を引き、止めるよう促すが、じろりとにらまれ、思わず俺は手を離した。
…本気でにらむと、こいつは結構怖い。
「それ、本気でいってるなら殴りますよ」
「おっと、君に殴られるのは勘弁して欲しいな。
 …どうして、だい?」
軽く肩をすくめ、聞き返す大佐に、ドルヒがまっすぐに彼を見た。
「我々は、大佐の部下です。
 我々が戦場で行動できるのは、大佐が命令を下すからです。
 我々は、大佐に命を預けているといっても過言ではない」
一気に言い募り、口を開こうとした大佐を遮って(これもまた珍しい)更に続ける。
「大佐が一人なのは、確かです。
 命令を下す人物は、二人も要らない。
 ですが、独りじゃない。
 …言い換えて、もう一度聞きます。
 答えてください。
 大佐は、常に孤独を感じてるんですか?」
そこまでいうと、ドルヒはぴたりと口を閉じた。
大佐の視線が、珍しく一瞬困ったように彷徨い。
暫くの沈黙の後、ようやく吐き出すように、ポツリとこぼした。
「…君たちは、私に、『命』を預けている、といったね。
 私は、預けられたものに対して、どうすれば良い?」
「『信頼』を返してください。
 大佐の信頼は、我々が預かります」
ドルヒの言葉に、一瞬大佐が考え込む。
「…信頼…そうか、いや、信頼…
 ああ、そうだね、そうだった。
 『我々は、チームである、常に仲間が共にいる』
 我々の標語だったね」
壁にかけてある、標語を目の端に入れながら、大佐がドルヒをみる。
ドルヒが、軽く肩をすくめた。
「大佐も、チームの一人、でしょう?
 頭がいるから、手足が動ける」
「ふふふ、私は、簡単なことを忘れていたようだよ。
 すまなかったね」
「謝罪されても困ります」
大佐が悪いことをしたとは思ってません、続けるドルヒに、珍しい表情…
「いつもの笑顔」ではない笑顔を、大佐がみせた。
「ああ、そうだね、すまない、いや、違うな。
 感謝する。
 気づかせてくれて、ありがとう。
 …オンリーと、ロンリーは違う。
 でもね、私が、君たちを羨ましいと思うのは、本当だよ」
「…ありがとうございます」
大佐が、俺とドルヒを、交互に見ながら微笑むのに、
三度珍しく、面食らったようにドルヒが応えた。

***
ざうざうはみた! 珍表情大連発事件の巻
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by usanosuk | 2007-10-24 03:40 | 小ネタ