He's a fair man

彼を一言で表現するなら、『白い』、で間違いないだろう。
きちんとアイロンのかけられたシャツから伸びる首筋も、
すっきりとした稜線を見せる鼻梁も、そこから続く、やや硬いラインを持つ頬も、
ファイルを持つ手の甲も、全てが抜けるように白い。
短く刈られた髪から、形の良い眉、わずかに伏せられた睫毛の一本に至るまで、
窓から入る陽光を弾いて、何もかもが硬質に白く輝いていた。
全てが作り物めいた白さを見せる中で、透き通るような色合いの瞳が、明確な意思を感じさせ、
軍服に包まれていても容易に感じ取れる、まっすぐ伸ばされた背筋や、
よく鍛えられて柔軟そうな筋肉のお陰で、ともすれば繊細で、
儚げな色合いすら思わせる彼の全体の雰囲気を、きりりと引き締めていた。

そうだ、アルビノ、だ。
ようやくその単語に思い当たる。
作り話の中では、使い古された感もある、記号じみた単語を、口の中で転がす。
己が見たことのある物語の中のアルビノたちは、それこそ妖精のような、
あるいは天使のような、もしくは悪魔のような…そのあたりはなんでも良い、
つまりは非現実的な存在ともいえる雰囲気を醸しだしていた。
だが、彼は、現実の存在感を持って、そこにいる。
アルビノが、非現実的な雰囲気だなど、誰が決めたのだろう。
隣にいる女性と会話する彼が、時折見せる微笑は柔らかく、届く声は穏やかだ。
何のことはない、極普通の好青年、である。

今まで会話していた彼女に何か言われたか、一瞬、白磁の頬が
刷毛で紅を掃いたようにさっと染まった。
やや動揺したかのように、視線を一瞬さまよわせた彼に、思わず片頬が緩む。
「…ウォルト、笑ってないで何とかしてくれ」
「女性との軋轢は自分で何とかしろ」
心底困惑したように言う彼の科白に、押さえはしたが、明らかに自分の声に笑いが混じる。
うっとり、という単語がよく似合う視線で見つめられている彼の困惑振りに、
耐え切れずに軽く噴出した。

***
美形を表現してみよう の巻
[PR]
by usanosuk | 2007-11-07 18:41 | 小ネタ