Countryside

小さな、小さな駅を降りれば、そこは穏やかな、田園地帯。
「綺麗な村だね」
にっこり。 少女は、傍らの青年達に楽しそうに笑いかけます。
「風景だけが自慢の田舎だから」
紅茶色の肌の彼(とも言いがたいのですが、ここはそう呼ぶことにしておきましょう)が、
少女に負けないくらい楽しそうに笑います。
その隣にいる、白い青年も、のんびり楽しそう。
お迎えは何時来るのかしら、とうきうきしながら遠くを眺める少女の目に、
青い、ピックアップトラックが映ります。
あれかな? 訊ねる少女に、紅茶色の彼が頷きました。そう、あれ。
「お待たせ、お帰りドルヒ、いらっしゃい皆」
「ただいま、父さん」
久しぶりの親子の再会、軽くハグ。
「こんにちは」
「こんにちは」
少女と青年も、そろって挨拶、にこにこと握手。
彼のお父さんは、しっかりしてて、とても力強い手をしていました。
全体的にがっしりしてて、背はそんなに高くないけれど、とても大きい感じがします。
でも、なんか、ドル君に似てるね。 そうかな。
雰囲気が、親子だなぁ、って感じだよ。
くすくすと、内緒話するように、彼にこっそり耳打ち。
「そういえば、イザベルは、助手席に乗る?」
大きなスーツケースを荷台に乗せながら、青年が尋ねます。よいしょ。
「ううん、皆と一緒に後ろがいい」
「道悪いから、色々痛くなるよ?」
荷台の上からの言葉に、うーん、とちょっと悩んで。
「やっぱり後ろがいい、な」
駄目? ちょっと上目遣いに見られて、紅茶色の彼が思わず噴出しました。
「お尻が痛くなっても、文句は言うなよ」
言わないよ。 上から差し出された白い手を取ると、そのままひょい、
と少女は荷台に引っ張り上げられました。

のんびり、ピックアップが田舎道をがたごとと揺れながら走ります。
向こうの畑はぶどう、あっちにみえるのはりんご。
赤い屋根、茶色い屋根、青い屋根。
緑の蔦が絡まるはちみつ色の石垣の上では、白い猫が我関せずと大あくび。
どこまでも続く、のどかな風景を、荷台に三人並んで座りながら、笑顔で眺めます。
真ん中に少女を挟んで、白い青年と、紅茶色の彼と、仲良くおしゃべり。
そろそろお尻が痛くなってきたかな、というところで、ようやく彼のお家に着きました。
「おかえりなさい、いらっしゃい皆」
出迎えてくれたのは、彼のお母さん。
彼よりちょっとふんわりしてて、彼よりちょっと小柄で、でも彼と同じように笑う女性でした。
再会の挨拶をもう一度、もちろんハグも。
青年と少女も、挨拶のハグをして、少女はちょっとくすぐったそうにしましたが、
でもちゃんとお返しします、ぎゅっ。
「ザウエルくんはドルと一緒の部屋で良いわよね。
 イザベルちゃんは、こっちの客間を使ってね」
お母さんに部屋に案内されて、ほっと一息。
気分がふわふわしている所為で自覚がなかったけれど、ずっと電車に乗って、
そのあとピックアップに揺られて、どうやら思ったより、疲れてたみたいです。
ぽふん、と少女はお日様色シーツのかかったベッドにお腹から飛び込みます。
スプリングがたわんで、少女の体重をやわらかく受け止めました。
あったかい匂いがして、顔が自然にふんわりします。

ふふふ、と少女の口から、楽しそうな笑い声が零れ落ちて、
空中にころん、と転がっていきました。


***
ドルの田舎に遊びにきたザウとベルさん。
牧歌的な雰囲気を出すために、ちょっと文章の書き方を変えてみた。
…すんげぇ難しい…もうやらん…
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by usanosuk | 2008-08-23 03:21 | 小ネタ